ハードロック工法とは

ハードロック工法は、水平ボーリング方式に属する一重管推進方式で、先導体にダウンザホールハンマーを内蔵させ、軟岩~硬岩および転石・玉石交じり砂礫土を低推進力で破砕しながら地盤を削孔すると同時に鋼管(さや管)を推進する工法です。

推進完了後、鋼管(さや管)に下水道本管、水道本管、電力ケーブル等を挿入し管路を築造します。

工法概要

■推進機
通常時の推進は360度回転で行ないますが、方向修正時は主ハンマーの打撃個所を限定し、方向精度を維持します。
先導体はさや管(鋼管)と溶接接合され、さや管(鋼管)と一体で回転します。
地山の崩壊がなく、転石・玉石は破砕して推進するので優れた方向精度を維持します。
■先導体
主ハンマー(大型)、補助ハンマー(小型)を内蔵し、方向制御は主ハンマーの打撃方向へ管がシフトする傾向を利用し、高精度を維持します。
ハンマーヘッド丸型は岩対応、ハンマーヘッド角型は礫・玉石対応です。
ハンマー本体の損耗は少なく、長距離推進が可能です。
■推進時の排土システム
掘削ズリは、ハンマー打撃用の圧縮空気や吸引車等で効率良く発進立抗に搬送します。

工法

  1. この硬質岩盤、及び玉石・転石混り土に100%対応する事を目的として開発された工法で、ボーリング方式に属し、工法は中硬質・一重ケーシング工法に該当します。
  2. 掘削方法は、ダウンザホールハンマービットによって、岩盤・玉石、転石を細かく(0~40程度)破砕し、先導体前面開口部(20mm×60mm 2~8箇所)より風圧で取り込み、清水により回転自然排土する方法です。
  3. 元押し機は、従来の水平ボーリング方式の機械をベースにし、回転力、及び衝撃対応力を大幅にアップした機械で、又先導体は、主破砕ハンマー補破砕ハンマーを内蔵しています。
    これらのダウンザホールハンマーには作動用圧縮空気に清水を混合でき、これによって粘性土の混入する砂礫土、破砕後粘土化する岩盤に対し、ビットの目詰まり、開口部の目詰まりを防いでいます。
    又、圧縮空気の圧力を調整できるので、崩壊しやすい砂礫土でも高精度の推進が出来ます。
  4. 測量方法は、先導体に内蔵された特殊反射板に対し光射し、測量機器により目視で測量しています。
    それにより最大150m程度まで測量可能で、その為、岩盤のような推進管に対し周辺摩擦がかからない地盤では最大100m以上の長距離推進が可能です。(実績値)
  5. 推進方向修正は上述の方法で位置確認後、主破砕ハンマーを曲げたい方向に向け、60~120度程度の範囲で揺動し修正を行います。
    そのとき必要であれば補破砕ハンマーに供給する空気圧を最低限まで下げる事により、修正をより確実に行うことができる。
  6. 推進管は鋼製のみとし、推進管をさや管とし内部に塩ビ管等を布設し管路築造とします。
    又、推進管をパイロット管とし、外径とやや同径のヒューム管に置き換える事が可能です。第一工程パイロット管到達後、第二工程にて先端に拡大先導体(φ900mm以上)を取り付け、再度拡大掘削を行います。

特徴

  1. 硬質な玉石、転石、岩盤等は切削、または圧砕するよりも、打撃による破砕をする事がもっとも早く、エネルギーも少なくて済むことを基に打撃に回転を与え掘削推進する方法を採用しています。
    従来主流を占めている推進工法のほとんどが硬質な玉石、転石、岩盤等に対しては、ディスクビット、ローラービット等を破砕しようとする物体にあてがい、強い推力を加えて削る、または割る事により掘削推進を行っています。
    従って、硬質であればあるほど、より大きな推力を与えなければ掘削する事ができない事から大きな推力を与える事により、ビット、ビット軸の磨耗、または先導体が玉石等に乗り上げる為、推進精度の不安定が起こる等の弊害が発生しています。
    しかし、ダウンザホールハンマービットでの硬質物体の破砕時には推力を必要としないことで玉石等に乗り上げる現象は少なくなり、且つ打撃破砕タイプの中でも当工法のもっとも大きな特徴である大小2台のハンマーを使用している事で、例えば推進管下部に一部のみ現れた玉石に対しては、主ハンマーのみで揺動を行い集中的に破砕をし、破砕している時間に上部の緩みが発生するのを防ぐために補ハンマーの作動を極限まで抑える、あるいは停止する事により、先導体上部に強い土圧を受けるため乗り上がりの現象はまったく起きず、より高度な推進精度保持ができることです。
  2. ダウンザホールハンマーにおいては作動用の圧縮空気の圧力を高める事により、打撃力、打撃回数が比例的に上がる事から、どんな硬質な岩盤においても日進量の低下はほとんどありません。
    又、それによりハンマービットの耐用距離も変わらず、且つボーリング方式の一重ケーシング式で推進管が鋼製である事から、引き抜きや先導体の交換も容易である為、硬質岩盤でも長距離推進が出来ます。
  3. 先導体後部から極限までフロー値を上げた滑材を使用する事で、ボーリング方式・一重ケーシングでもっとも懸念される周辺摩擦力による回転力の損失を防ぎ長距離推進を可能にしています。
    又、滞水の多い砂礫層では、滑材に溶液型瞬結タイプの薬液を送る事により、先導体後方の地盤を固結化し、推進することが出来ます。

施工手順

1.推進機据付
立坑内のアンカーに推進機を固定します。
2.推進~さや管(鋼管)溶接
土質に応じて、エアーの圧力を調整し、
先導体内部に送水(ダウンザホールハンマー冷却・ターゲット清掃用)します。
岩質よってはエアーと清水を混合し推進します。
転石・玉石混り砂礫土は滑材を常時注入しながら推進します。
さや管(鋼管)が1本進むごとに溶接をし、一本化させます。
これらの作業を到達まで繰り返します。
3.到達
先導体が到達坑に達したら鏡切りを行い、さや管(鋼管)が到達したところで、先導体を回収します。
4.ズリ出し、清掃
エアーホース撤去後、発進坑側からクレーンで先端にスクレーパーが付いたワイヤーロープを引っぱり、管内のズリ出し・清掃を行います。
その後推進機を撤去します。
5.本管(塩ビ管等)挿入~中込注入
本管(塩ビ管)にスペーサーを取り付け、さや管(鋼管)内に挿入します。
塩ビ管を挿入後にさや管(鋼管)との空隙に注入材としてセメントミルクを充填します。
注入口は発進側、エアー抜き口は到達側に各1ヶ所づつ取り付けます。
エアー抜き口より注入材が吹き出すのを確認し、充填を完了します。
6.完了

項目

■適用土質
1.玉石・転石混り砂礫(ほとんどの条件を施工)
2.軟質岩~極硬質岩(花崗岩・安山岩・粘板岩等)
■管種・管径(mm)
一般構造用炭素鋼鋼管(STK-400)
φ200・250・300・400・500・600・700・800
(上記鋼管に伴う布設本管)φ~600mmまで
■立坑寸法(発進立坑)
  1. さや管径φ200~400mm
    円形φ2,000mm(最小) 小判型2,500*4,541mm(標準) 建込簡易土留2,000*2,500(最小)
  2. さや管径φ500~600mm
    円形φ2,500mm(最小) 小判型2,500*4,855mm(標準) 建込簡易土留2,200*3,000(最小)
  3. さや管径φ700~800mm
    円形φ3,500mm(最小) 小判型3,000*5,041mm(標準) 建込簡易土留2,400*3,500(最小)
■立坑寸法(到達坑)
1. 管径φ200~300mm 円形φ1,000mm 特1号人孔より回収可能
1. 管径φ000~000mm 円形φ0,000mm (特1号人孔到達の場合は、協会へお問い合わせ下さい)
2. 管径φ400mm~000 円形φ1,700mm 1号人孔より回収可能
3. 管径φ500~600mm 円形φ2,000mm 1号人孔より回収可能
4. 管径φ700~800mm 円形φ2,500mm 2号人孔より回収可能
■推進延長
玉石・転石混り砂礫土:( )内実績
φ400mm  50m(65.0)
φ500mm  60m(79.0)
φ600mm  60m(65.7)
φ800mm  60m(89.67)
岩質土
φ400mm  60m(83.4)
φ500mm 100m(150.0)
φ600mm 100m(117.0)
φ800mm 100m(68.9)
■掘進機数
400型 10台
600型 12台
800型  5台
■施工会社数
9社
■積算方法
協会発行積算資料による
→詳しくはお問合せください。

適用地盤

動画

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